【東京編】チャンピオン日記!素人がゼロからチャンピオンになるには(続き)
僕は同年代で活躍しているキックボクサー達に追いつくべく、朝から晩までキックボクシングの練習を始めた。朝は仕事へ向かうサラーリーマンを後目に、自宅から秋葉原までロードワークに出かけ、いつも途中の公園でシャドーボクシングをしていた。走りながら、会社へ向かう人々とすれ違う時、なんとなく彼らの視線を感じる。「コイツ、朝っぱらから何やってんだ?」キックボクシングを始めたばかりで、チャンピオンでもプロでもなかった僕は、人々の視線からそんな冷たさを感じていた。「いいさ。俺はそのうち必ずチャンピオンになる。チャンピオンになって見返してやるんだ」勝手にそうを思いながら毎日走っていのだった。
昼から夜までは大学の授業やアルバイトの時間以外、常にジムにいた。とにかくキックボクシングの練習の仕方もまだ分からなかったので、夕方や夜のクラスレッスンは全て参加し、昼間などのクラスレッスンがない時間帯は、クラスレッスンで教わったことを100回でも200回でも飽きることなく一人で繰り返し練習していた。そうすると、昼の暇な時間帯にトレーナーさんもいろいろなテクニックや練習方法を教えてくれるようになった。
そして、僕は人より遅れている分を取り戻すために、ジャブ一発打つにしても他の誰よりも集中して「一発入魂!」の気持ちでパンチを放っていた。それを幾度となく繰り返した。「みんながジャブ一発打つのに8割しか力を出し切っていなかったら、100発打つと20発分、1000発打つと200発分も差が縮むはず!」「しかも、ラウンド間の休憩も休まず打ち込んでいけば、さらにその差が縮む!」「その上2倍の練習時間をこなすんだから、もっと…」僕はいつもこのように考えて練習していた。実際はそんな単純な話ではないはずなのだが、その時の僕はこう考えることでますますやる気になって、何時間でも練習を続けられた。ただ、この時の気持ちはチャンピオンになってからも変わらなかったし、キックボクシングをやめるまで忘れなかった。